3月の御嶽
(2006年3月15日)

秩父⇒御岳ロープウェーまでのドライブは片道約260km。
運転時間は5時間半。交通費は片道で合計3510円だった。

ホテル木曽温泉まではきれいに除雪されてまったく雪はない。
その先もスタッドレスで充分な程度。
途中、コンビニや御嶽神社里宮に寄ったりしながら、御岳ロープウェー駐車場に18:25到着。

駐車場の片隅に車を停め、リヤシートを倒して寝袋を広げる。
ロープウェー駅のトイレが一晩中使えるのがありがたかった。

<御嶽神社 里宮>
天候(御岳ロープウェイのサイトより)
2006/3/15(水)
AM8:00

山麓駅 -7℃
山頂駅 -10℃
積雪140p

雪質:乾雪

道路状況:凍結


7:00頃 起床
車の中は−8℃位。
カロリーメイトのドリンクを飲もうとしたら凍っていた。
湯を沸かそうにも、ポリタンクの水も凍っている。
仕方なく、ロープウェー駅の自販機でホットドリンクを買って飲んだ。

9時になり、ロープウェーが動き出したので乗車。
9:15頃 山頂駅に到着
 
目印はしっかりとある
山スキー用かな?
ここで登山届を提出。

他の乗客はスノーボーダーばかりの中、登山道に向かう。
ところが見慣れた黒沢口の登山道が無い。
完全に雪に埋もれて痕跡すらないのだ。
過去の記憶を頼りに道をたどろうとしたが、どこを見ても雪景色の林がはてしなく続いている。

やっとここで、夏山とはまったくちがう行動計画が必要なことに気づいた。
地形を読んで山頂への最適なルートを描きながら進むしかないのだ。

ここで、スキー場のスタッフの言葉を思い出した。
「森林はラッセルですけど、森林限界線を越えれば楽になりますよ」
じゃあ、とにかく斜面を直登して、ラッセル地獄を脱しよう。

森を抜ければ、女人堂だって見えるだろう。

サルオガセの越冬姿
10:44 ラッセル終了
 
遥かなる女人堂
かなり体力を使い、何度も嫌になりながらなんとか森林を抜けた。
雪が堅く締まってきて、やっと念願のラッセル終了。

森を抜けると隣の尾根に女人堂が見える。
いつもはあんなところを歩いていたんだな・・・と、感心してたのもつかの間。
上のほうをみると、斜面がスリ鉢状に集束している。

もしかしてここは雪崩地形なのでは?
と、周囲の木を見ると、かなり太い木が不自然に曲がって伸びている。
いかにも雪崩にさらされながら育ったような姿だ。

 

早いところ尾根に登らなくては・・・結局、この日はまだ雪崩が起きるようなコンディションではなかったようだが、雪崩と滑落の心配だけは頭を離れなかった。
11:36 雪が堅くなってきたのでアイゼンを装着
やっと新品の12本爪アイゼン、ブラックダイヤモンドのセイバートゥースが役に立つ時が来た。
装着は三峰の山で練習してきたので問題はない。
アイゼンが効くようになり、やっと歩行が楽になった。

天気は上々 まさに快晴
12:20 鐘のある銅像に到着

アイゼンの足跡があった
数日前にスキー場のスタッフが登ったらしい

極寒の中、変わらない姿で鎮座して迎えてくれた。
鐘を鳴らし、合掌する。

こんな格好です
12:46 ザックをデポ
二ノ池案内板まで一気に上がる急斜面が始まる直前で、樹脂管や丸太が転がっている場所がある。
前回(11月の御嶽)の反省から、今度は禁断(?)の作戦を発動。
重いザックを置いていくことにした。

ポケットに鮭トバとビバーグツェルトを入れ、カメラとGPSを首に下げる。
ザックは落ちていかないように丸太にベルトで止めた。
ピッケルだけを持って、頂上へ急ぐ。

覚明堂はルートから外れたため
立ち寄ることはできなかった

置いてけぼりとはザックも不本意だろう
13:02 石室山荘
稜線までの急斜面が壁のように見える。

石室山荘の軒下で小休止しようと思っていたが、半分以上雪に埋まっていて、平らなところがないので使えない。
仕方なくアイゼンを効かせて時々休みながら、斜面を登りきった。

雪面は風の作用で、ふしぎな幾何学模様が描かれている。

少しは休めるかと思ったら
このありさま

風の足跡?
13:25 案内板付近

石造りの案内板は、かろうじて顔を出していた。

稜線に出ると、一気に二ノ池と剣ヶ峰の展望がひらける。

風も強烈になる。
時々、烈風が雪煙をあげてやってくるのが見える。
ピッケルを突き刺して伏せると、氷の粒を叩きつけて風が通り過ぎていく。

高山病の感じはまったく無かったが、頂上を目の前にしながらなかなか足取りが進まない。
13:50 旭館・頂上山荘
頂上山荘は半分埋まっていて
屋根に歩いて登れそうだった

石段のはずが滑り台状態
旭館はほとんど埋もれてどこにあるのかよく分からない。

山頂への石段は完全に氷雪に埋もれていた。
鳥居も半分以上埋まり低くなっていたが、なんとかくぐって頂上へ登る。
13:55 山頂
 
山頂の鳥居も凍っていた



アイゼンにものを云わせて上りきると、やっと見慣れた山頂の風景に到達。

社務所は半分以上埋もれ、祠と神々の銅像は土台まで埋まっていたが、ゆるぎなく立っている。
相変わらず烈風がすごいが、平気で立っている銅像たちもすごい。
 
ご祭神を礼拝して、風に揉まれて半ばわけわからん状態の中、登頂写真を撮りまくった後、祠の前で大の字になった。
休憩は10分程度。
ロープウェーが4時までなのでのんびりしていられない。

青空を見上げながら、烈風の中でも不思議と心は穏やかだったような気がする。


何でもかんでも


凍って埋まる…

 登頂記念(証拠?)写真
 
14:11 下山開始

風雪に耐える石室山荘の勇姿(?)
帰りに、夏にお世話になった旭館の様子を伺うが、屋根しか見ることができない。
二ノ池案内板まで戻り、なんとか覚明霊神の鳥居まで行って礼拝。
ついでに二ノ池のほとりまで行ってみたかったが、時間が惜しいので諦めた。


雪山の下りはかなりスピードが出せた。
美しい風紋を足がかりに使って壊しまくりながら、あっという間にデポ地点まで戻れた。



覚明行者の祠
14:47 デポ地点に戻る

気になる秘峰の継子岳
ザックが「おかえりなさい」と言うはずもないが、おとなしく丸太にしがみついて待っていてくれた。
山ではやはり、これがないと心細い。

下りの途中、山スノーボーダーの2人と出会う。御岳ロープウェーへ滑るのだそうだ。
ゲレンデより上で人に会ったのは、これが初めてで唯一だった。


お隣の乗鞍の上もこんな世界だろう

振り返るたびに遠くなる岩峰群
15:04 鐘のある銅像へ戻る
15:33 雪が柔らかくなってきたのでアイゼンを外す。
ラッセル地獄に苦しんだ森林地帯を下っていると、スノーボーダーの2人が追い抜いていった。

羨ましい気もするが、あちらは山頂までは登っていない。
荷物もより重いはず。
登山スタイルがまったく違うのだからしかたない。
15:50 山頂駅に戻る

夏のお花畑が
冬はゲレンデになっている
16:00でロープウェー終了のところ、なんとか間に合った。
ゲレンデを歩いて降りるのはごめんだ。


ちなみに、ロープウェー駅⇔中の湯の道路もゲレンデに埋もれているらしい。
当然、車では通行不能だ。

コースはけっこうすいていた
16:05 マイカーに到着。

下山した頃には、かなり気温も上がっていた
平日だからか、駐車場はまだまだ空きがある。
ボーダーやスキーヤーも帰り支度に忙しい様子だった。

しばらくシートを倒して休息をとる。
ラッセルが効いたのか、足がかなりまいっていた。
次回の雪山ではスノーシューの導入も検討したほうがいいだろうか。
ともあれ、まだこれから5時間のドライブが残っているのだった・・・

御岳ロープウェー⇒石室山荘⇒覚明堂⇒剣ヶ峰(⇒下山)
歩行時間 約6時間35分

〔主要装備〕
アウター
上ミドラー
上インナー
マウンテンハードウェア FTXミスリルパーカ
パタゴニア R2 ジャケット
ミズノ ブレスサーモ ジップネック 中厚
790g
358g
下アウター
下ミドラー
下インナー
モンベル ディナリビブ
モンベル ライトシェルパンツ
モンベル ジオラインパンツL.W.
545g
251g
106g
グローブ モンベル ウインドシェルグローブ
ブラックダイヤモンド プロディジーグローブ
50g
250g
フットギア ガルモント マウンテンライト
パイネ ウールソックス
ブラックダイヤモンド セイバートゥースクリップ
835g×2

1175g
ピッケル ブラックダイヤモンド レイブンプロ 382g
ストック レキ マカルースーパーショート 222g×2
ザック モンベル ルルイパック45 (45リットル) 1550g
防寒着 モンベル アルパインダウンジャケット
モンベル サーマラップパンツ
445g
280g
重量合計 約8.3kg
その他、水や食料、救急用品など荷物多数